コラム

2023/03/31

ファイバレーザー加工機とは?メリットと注意点を解説

ファイバレーザー加工機とは?種類や原理、メリット・デメリットについて知ろう

ファイバレーザー加工機の種類と特徴

レーザー加工機は、主に切断や溶接、マーキングなどに活用される機械であり、製品の素材によって適した加工方法が異なります。レーザー加工にはCO2レーザーやYAGレーザーなどの種類があり、それぞれ特徴がありますが、近年導入が進むファイバレーザーは、高い出力と微細加工が可能な特徴を持っています。

ファイバレーザー加工機は、金属の板金加工や彫刻、カッティングなどに多く利用されており、大判の加工にも対応しています。レーザー光がミラーやレンズによって集光され、高いエネルギーを持った光が照射されることで、精密な加工が可能になります。

また、ファイバレーザー加工機は、ランニングコストが低く、メンテナンスが簡単であるため、産業用として多く採用されています。

ファイバレーザー放出技術の原理と特長

ファイバレーザーは、基本波長が1μm付近で、高い出力を持ち、様々な用途に活用することができます。

ファイバレーザーの原理は、ファイバ中に存在する希土類やイットリウムなどの原子を励起状態に移行し、そのエネルギーを放出することでレーザー光を発生させるというものです。

ファイバレーザーは、固体レーザーと同様に、原理的には波長が単色であり、コヒーレンスが高く、指向性が高いなどの特徴を持ちます。また、パルスレーザーにすることも可能で、微細加工に適したレーザーとして、工作機械などに採用されています。

切断、溶接、マーキングなどの分野で多く利用されており、高出力であるため、金属や板金などの素材の加工にも用いられます。さらに、医療分野でも使用され、レーザー治療に活用されることもあります。

他のレーザーと比較して、ファイバレーザーは、ランニングコストが低く、総合的な利用コストが低いという特徴があります。CO2レーザーのような消耗される媒質ガスが不要で効率が高く、大型の固体レーザーよりも小型で低メンテナンスです。

その特性や利用方法から、産業用途においては、ファイバレーザーカッターやレーザーマーカーなどの装置に採用されており、微細加工やトレーサビリティなどの課題を解決するために必要不可欠な存在です。

ファイバレーザー加工機のメリットとデメリット

前項で述べたようにファイバレーザー加工機は、様々な種類の素材を高い精度で加工することができ、工業界で広く導入されています。

メリットとしては、高速で効率的に切断や溶接を行うことができること、他のレーザー加工機と比べ、ランニングコストが削減されることが挙げられます。さらに、ファイバレーザーは小型でシステム組み込みも容易であり、交換やメンテナンスが簡単であるため、メンテナンスコストも削減できます。

一方、デメリットとしては、溶接などの際スパッタガスが発生しやすく、加工速度が制限されるほか、アシストガスやコンプレッサなどの周辺機器を慎重に組み合わせる必要があります。また周波数変換によるUVファイバレーザーを使用する場合は、人体に有害な波長であるため、さらにしっかりとした安全対策が求められます。

レーザー加工機の注意点とは?温度やアシストガス、加工できないものにも注意しよう

レーザー加工機における温度管理のポイントと注意点

レーザー加工機を使った加工において、温度管理は重要なポイントの一つです。

レーザーを用いた切断や溶接、マーキングなどの加工は、素材や種類に応じて様々な方法がありますが、温度管理を適切に行わないと、歪みや割れなどの課題が生じる可能性があります。特に、ステンレスや金属などの材料を加工する場合は、適切な温度管理が必要です。

また、レーザー加工は、加工対象物の材質や形状、加工方法、照射条件などによって、誤差が生じる場合があります。また、ウォータージェットやタレパン、刃物などと比べると、精密な加工や表面加工には向いているものの、厚い素材や特定の材質に対しては適さない場合があります。

レーザー加工機を活用するためには、適切な温度管理や設計、部品の選定、安全対策などに注意を払い、特に、対象物に合わせた加工方法の選定や、トレーサビリティを確保するための印字や刻印の方法の選択などが重要なポイントとなります。

アシストガスの種類とファイバレーザー加工機における役割について

レーザー加工機において、アシストガスは重要な役割を果たしています。アシストガスは、加工中の金属の溶融や反応を防止するために使用され、加工対象の種類や板厚、加工速度、条件によって使用するアシストガスの種類が異なります。

一般的には、窒素やアルゴン、酸素が使われます。また、アルミの場合はPSAと呼ばれるガスが使用され、アシストガスの供給量が少ないと、切断面に影響を与えることがあります。

そして、ファイバレーザーは高いエネルギーを発生するため、アシストガスの流量や制御には注意が必要です。アシストガスの選定によって、飛散物や火花が発生しにくくなり、安全性が向上することに加え、ランニングコストの削減にもつながります。ファイバレーザー加工機を効果的に活用するためには、アシストガスの役割をしっかりと理解し、適切な種類や流量を選定することが必要です。

ファイバレーザー加工機で加工できない材料とその理由

ファイバレーザー加工機は、金属素材を高い精度で加工することができます。しかし、ファイバレーザー加工機では加工できない材料もあります。

例えば、塩化ビニルやテフロンなどのポリマー材料は、ファイバレーザーに反応して薬品変化を起こし有害ガスを発生することがあるので、加工ができません。また、木材のような非金属素材の切断には、ファイバレーザー加工機よりもCO2レーザーカッターの方が適しています。

さらに、人体や食品などの生体物質は、レーザーの照射により変性する可能性があるため、加工ができません。

以上のように、ファイバレーザー加工機を導入する場合は、加工する材料の選び方に注意する必要があります。また、ファイバレーザー加工機のメリットである高速加工や綺麗な仕上がりなどを考慮しながら、加工する材料を選ぶことが大切です。

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