高解像度&リアルタイム テラヘルツイメージング技術

Lytid

Lytid社とボルドー大学 IMS Nanoelectronicグループ(Patrick Mounaix教授)との共同研究による、テラヘルツ技術を駆使したイメージングアプリケーションの研究開発成果をご紹介します。


Lytid社とボルドー大学IMSとの共同研究による成果をご紹介します。Patrick Mounaix教授率いるIMS Nanoelectronicグループでは、ハイエンドなテラヘルツ技術を駆使して、非破壊検査およびセンシングシステム向け大型パネルの実装にフォーカスした研究開発を行っています。Lytid社との長年にわたるパートナーシップにより、以下のようなイメージングアプリケーションのためのテラヘルツ技術が開発されました。

柔軟な照明パターンを提供するTHzビームステアリングユニット

IMS NanoelectronicグループとLytid社の共同研究は、従来のフルフィールドイメージングセットアップの限界を克服する、リアルタイム高解像度THzイメージングシステムの開発を目的としています。
 
このようなイメージング技術では、マルチセンサー検出器を用いて、ビデオレートでリアルタイムの画像ストリームを取得するために、サンプルを完全に照射する必要があります。この技術は、THz光出力が広いセンサー領域に分散されるため、比較的低い信号対雑音比(SNR)に制限されます。Lytid社のTeraCascadeのような量子カスケードレーザー(QCL)を用いたミリワット出力レベルのTHz光源の登場は、THz光周波数(本件では2.5 THz)によって定義される空間分解能を実現し、SNRリアルタイムイメージングを向上させる道を開きました。しかし一方、THz-QCL放射に特有の強いコヒーレンスは、イメージングシステムを通過するパスの違いによって検出器面に不要な干渉縞を生じ、不安定な画像の原因になります。

 
このテラヘルツ放射のコヒーレンスによる制限を解決するため、Lytid社とIMS Nanoelectronicグループでは、均一な照明パターンを柔軟に生成できるプログラマブルなビームステアリングユニットを含む、革新的なイメージングセットアップを開発しました。光学系は、TeraCascade1000からの数mWの2.5THz出力光をベースとして、この光がビームステアリングユニットを通って伝播します。ガルバノミラーでレーザービームを高速ステアリングすることで、適切な照明パターンが生成されます。サンプルを透過または反射した後に、THz対物レンズ TeraLens(40mm – f/0.83 – x0.22)を搭載したボロメータカメラで画像を取得します。検出器のフレームレートは、完全なパターンが生成された後に画像を収集できるように調整されており、リアルタイムイメージングでSNRを向上させることができます。さらにビームステアリングユニットは完全にプログラム可能ですので、さまざまなサンプル寸法や用途に合わせて照明パターンを調整できます。
 


照明成形無し

照明成形有り

THz照明光プロファイルの非均質化時と均質化時での比較。一般的なイメージングセットアップでのTHzビームプロファイルは、光学部品での多重反射に起因する目に見える干渉縞を示します。この従来技術における制限は、IMSがLytid社と共同開発したプログラム可能なステアリングユニットによって克服されました。


この革新的な技術により、特定のアプリケーション、さまざまなサンプル寸法、および指定の検出要件に合わせてカスタマイズした均一なパターンを生成できます。右図は、このプログラムマブル・ビームステアリングユニットで生成できるカスタムパターンの例です。

高解像度&リアルタイム テラヘルツイメージング技術の導入例

プログラム可能な均一照明パターン技術は、複数のアプリケーションでパフォーマンス向上に寄与し、リアルタイム照明スキームのさまざまなバリエーションで実証されています。以下に、線形スキャン構成やフルフィールドイメージング取得における成果を示します。開発されたシステムはその高い柔軟性によって、ここで紹介する以上に、無限の可能性と無数のアプリケーションへのアクセスを可能にします。
 

リニアスキャンによる高解像度化とSNR向上

このイメージングセットアップは、スキャンモードで使用します。均一な照明パターンは静的で、さまざまな特徴的な張り出し要素を備えたポリプロピレンサンプルを、正面から直線的にスキャンします。透過したテラヘルツ放射線は、ボロメータカメラによって収集されます。高解像度かつ高SNRのリアルタイム再構成を実現したこのイメージングモードは、産業用途における非破壊検査にこの方法が適していることを示しています。

 

2Dパターンによるフルフィールド・ホモジナイズド・リアルタイムイメージング

以下はフルフィールドイメージングの例です。THzパターンでさまざまなサンプルを照射し、透過放射光をボロメータカメラで収集します。照明パターンは、各サンプルごとのサイズに合わせてプログラムされています。2.5THz時の、これらの画像の一般的な取得時間はわずか160ミリ秒、達成可能な解像度は250ミクロンです。


20€紙幣の透かし

金属ビーズ付きの3Dプリント迷路

木の葉

20€紙幣のホログラムテープ

3Dプリントによるセラミックマイクロ流路チップ

 

トモグラフィック再構成

この例では、金属(針と金属ビーズ)を含む発泡スチロールキューブのリアルタイム・フルフィールド画像を、さまざまなサンプルの向きで収集します。続いて画像を処理し、サンプルの3D再構成イメージを取得します。

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