時間分解計測・ASOPS向け 単一キャビティ・デュアルコムレーザー

製品概要

デュアルコムレーザー（dual-comb laser）は、わずかに異なる繰り返し周波数を持つ2つの光周波数コムを同時に生成し、その干渉を利用して高速かつ高精度の測定を可能にする技術です。K2 Photonicsの K2-ASOPS および K2-1000 は、世界でも稀な「単一キャビティ構成」を採用しており、1つのレーザー共振器から2つのモードロックされたフェムト秒光コムを生成します。この構造によって装置はコンパクトで高安定を実現し、相対タイミングジッターや強度ノイズ（RIN）も極めて低く抑えられています。従来のように独立した2台のレーザーを同期させる方式では得にくい特長です。いずれのモデルも、ターンキー操作で簡単に使用できる設計で、産業用途での長期・高負荷運用にも対応しています。

モデル：K2-ASOSP

• ASOPS（Asynchronous Optical Sampling）方式に特化した設計
• ポンプ・プローブ測定、薄膜／厚膜検査など高速時間分解に最適
• メカニカルなディレイラインを用いずに、繰り返し周波数差による光遅延の高速・連続スイープが可能
• 高い時間分解能と測定スピードを両立し、非接触・高精度な計測を実現
• 標準波長は 1050 nm、オプションで SHG（二次高調波） および THG（三次高調波） に対応

モデル：K2-1000

• 繰り返し周波数1 GHzの単一キャビティ・デュアルコムレーザー
• 高速度・高分解能を両立し、デュアルコム分光・精密距離測定・ガスセンシングなどに最適
• 高い安定性と再現性が求められる精密計測用途にも対応

測定概要

単一共振器型デュアルコムレーザーからのパルス構造の概要図。2つのパルス列が異なる繰り返し周波数（frep1とfrep2）で放射される。パルスペアのタイミングが徐々にずれているので遅延ラインを動かしているのと等価になります。2つの出力は空間的に分離されています。

ステージなどの可動部品を使用しない高速光遅延掃引：非同期光サンプリング（ASOPS： ASynchronous OPtical Sampling ）は、等価時間サンプリング（ETS）とも呼ばれ、ポンプ・プローブ測定において長い光遅延スキャンを得るための代替手法です。ポンプ用とプローブ用にそれぞれ異なる光パルスレートを用いることで、両者間の光遅延を正確かつ高速にスキャンすることができます。この手法は、超高速光音響法などの過渡吸収研究で広く用いられています。スキャン範囲はポンプの繰り返し周波数によって決まり、スキャン速度はポンプとプローブの繰り返し周波数の差によって決まります。