K2-OPO-mini|1 GHz 超低ノイズ 赤外・中赤外フェムト秒光パラメトリック発振器(OPO)
K2-OPO-miniは、1 GHz繰返しのフェムト秒パルスを赤外~中赤外で出力する、ターンキー型のコンパクトな光パラメトリック発振器(OPO)です。出力波長は1550~4100 nmの標準モデルのほか工場出荷時に設定可能で、RIN <−160 dBc/Hz(>1 MHz)の超低ノイズを実現。オプションの単一キャビティ・デュアルコム構成により、多成分ガス分析、時間分解分光、非線形顕微鏡、反応ダイナミクス研究などに対応します。

1 GHzの高繰返し・超低ノイズを実現した、コンパクトな赤外~中赤外フェムト秒光源
K2-OPO-miniは、1 GHzフェムト秒レーザー技術をベースにしたコンパクトな光パラメトリック発振器(OPO)です。1 GHzの高繰返し周波数、<250 fsの超短パルス、低い相対強度ノイズ(RIN)を特長とし、赤外~中赤外領域で高安定・高感度な光計測を実現します。出力波長は用途に応じて、1550 nm、1645 nm、1800 nm、2400 nm、3300 nm、4100 nmなどに対応。波長可変構成にも対応可能です。
また、オプションの単一キャビティ・デュアルコム構成では、わずかに異なる繰返し周波数を持つ2つの光コムを1台のOPOから生成できます。機械式遅延ステージを必要としない高速な時間分解計測や、デュアルコム分光への応用が可能です。
1 GHzの高繰返しフェムト秒パルス
1 GHzの高い繰返し周波数によって高速な信号積算が可能となり、分光計測や時間分解計測、非線形光学など、高速なデータ取得が求められるアプリケーションに適しています。標準的なパルス幅は<250 fs(FWHM)で、オプションで<100 fsにも対応します。
赤外~中赤外の幅広い波長に対応
OPOによる波長変換により、近赤外から中赤外まで幅広い波長領域をカバーします。標準的な波長として、以下のモデルが用意されています。
| 出力波長 | 出力パワー/コム |
|---|---|
| 1550 nm | >400 mW |
| 1645 nm | >350 mW |
| 1800 nm | >250 mW |
| 2400 nm | >200 mW |
| 3300 nm | >120 mW |
| 4100 nm | >60 mW |
波長は工場出荷時の固定設定が基本となりますが、用途に応じて波長可変構成もご相談いただけます。
超低ノイズ特性が高感度計測をサポート
K2-OPO-miniは、1 MHz以上の高周波領域においてRIN <−160 dBc/Hzという低い相対強度ノイズを実現しています。高速な光計測では、レーザーの強度ノイズが測定感度を制限する場合があります。K2 Photonics独自の低ノイズ・フェムト秒レーザー技術により、高速サンプリングを必要とする分光・センシング用途に適した光源を提供します。
デュアルコム分光にも対応
K2-OPO-miniでは、単一キャビティ・デュアルコム構成をオプションで選択できます。1台のレーザーキャビティから、わずかに異なる繰返し周波数を持つ2つの光パルス列を生成することで、2つの光コム間の干渉を利用した高速分光が可能になります。従来のデュアルコムシステムのように2台の独立したレーザーを同期させる必要がなく、システム構成をシンプルかつコンパクトにできます。繰返し周波数差は−100 kHz~+100 kHzの範囲で可変で、相対タイミングノイズは<10 fsです。特に、赤外領域における高速・高分解能なデュアルコム分光や、ガス分析、時間分解計測などに適しています。
K2 Photonics独自の単一キャビティ技術
K2 Photonicsは、1つのレーザーキャビティから高い相関を持つ2つのフェムト秒光コムを生成する単一キャビティ・デュアルコム技術を開発しています。一般的なデュアルコムシステムでは、2台のレーザーを同期させるための複雑な制御系が必要となる場合があります。これに対してK2 Photonicsの単一キャビティ方式では、共通のキャビティを利用することで、2つのコム間のタイミング・強度・位相ノイズの相関を高めることができます。
K2-OPO-miniでは、この技術をOPOによる波長変換と組み合わせることで、赤外~中赤外領域でのデュアルコム光源をコンパクトなシステムとして実現しています。
アプリケーション
K2-OPO-miniは、光周波数コム応用、精密測距、ガスセンシング、時間分解分光、非線形顕微鏡、反応ダイナミクス研究などに適した光源です。
デュアルコム赤外分光
赤外領域に存在する分子の吸収スペクトルを利用し、複数成分を高速・高分解能に分析します。デュアルコム方式では機械式の光学遅延スキャンを必要としないため、従来のFT分光法では難しかった高速なスペクトル取得・連続モニタリング・オペランド計測への応用が期待できます。
- 多成分ガス分析
- ガス濃度モニタリング
- 燃焼・反応プロセス解析
- 大気・環境計測
- プロセスモニタリング
関連論文|OPOを用いたデュアルコム分光による大気中メタンの高速検出
広帯域に波長可変なフリーランOPOを用いたデュアルコム分光により、3 mの光路における大気中のメタン(自然存在量 約2 ppm)を、10 ms未満の測定時間で検出した例が報告されています。中赤外領域では分子固有の強い振動吸収を利用できるため、環境モニタリングやプロセスガス分析など、高感度なガスセンシングへの応用が期待されます。
Bauer et al., “High-sensitivity dual-comb and cross-comb spectroscopy across the infrared using a widely tunable and free-running optical parametric oscillator”, Nature Communications 15, 7211 (2024)
https://www.nature.com/articles/s41467-024-51392-9
関連論文|1 GHzデュアルコムOPOによる高速赤外分光
約2 ppmの大気中メタンを41 mの光路で検出。アクティブな安定化なしで測定を実施しています。
Bauer et al., “Ultrafast 1-GHz repetition rate dual-comb optical parametric oscillator”, Optics Express 33, 39130–39139 (2025)
https://opg.optica.org/oe/fulltext.cfm?uri=oe-33-18-39130
時間分解分光
フェムト秒パルスを利用して、光励起後に発生する超高速な現象を時間領域で観測します。
- キャリアダイナミクス
- エネルギー緩和
- 分子反応
- 化学反応ダイナミクス
- 半導体・材料の超高速応答
- ポンプ・プローブ分光
ガスセンシング
分子固有の赤外吸収を利用した高感度なガスセンシングに利用できます。1台の光源で複数の分子種を測定する多成分ガス分析や、高速なプロセスモニタリングへの応用が可能です。
THz-TDS(テラヘルツ時間領域分光)
高速な光学遅延掃引を利用したTHz-TDSにより、厚膜・多層材料の非接触測定、塗膜厚測定、半導体・ポリマーなどの材料評価に応用できます。
- テラヘルツ時間領域分光
- 塗膜・コーティング厚さ測定
- 半導体・ポリマー・複合材料評価
- 非接触・非破壊検査
関連論文|1 GHzデュアルコムレーザーをベースにしたファイバー結合型THz-TDS
高繰返しに加え、THz出力の高出力化を実現しています。
Dohms et al., “THz Power Scaling up to 1.6 mW in Fiber-Coupled ASOPS THz TDS with a 1 GHz Dual-Comb Laser”, IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology (2026)
https://ieeexplore.ieee.org/document/11592783
非線形顕微鏡
フェムト秒パルスの高いピークパワーを利用し、非線形光学現象を利用した顕微イメージングに応用できます。
- 多光子顕微鏡
- 非線形蛍光
- 非線形ラマン
- 材料評価
- 生体試料のイメージング
反応ダイナミクス・超高速現象の研究
高繰返し・超短パルスという特長を活かし、化学反応や材料中で発生する超高速現象の研究に利用できます。
| モデル | K2-OPO-mini |
|---|---|
| 種類 | 光パラメトリック発振器(OPO) |
| 出力波長・パワー(1コムあたり) | 1550 nm:>400 mW 1645 nm:>350 mW 1800 nm:>250 mW 2400 nm:>200 mW 3300 nm:>120 mW 4100 nm:>60 mW ※1 |
| 波長設定 | 工場出荷時に固定設定(波長可変構成はお問い合わせください) |
| 繰返し周波数 | 1 GHz ±0.1 GHz |
| パルス幅(FWHM) | <250 fs(オプション:<100 fs) |
| 相対強度ノイズ(RIN) | <−160 dBc/Hz(>1 MHz、各コム) |
| ポンプ光源 | K2-1000-mini(内蔵) |
| デュアルコム | オプション |
| デュアルコム方式 | 単一キャビティ・空間多重方式 |
| 繰返し周波数差 | −100 kHz~+100 kHzの範囲で可変 |
| 相対タイミングノイズ | <10 fs[100 Hz~100 kHz] |
| 制御(オプション) | 繰返し周波数(frep):ピエゾ駆動 繰返し周波数差(Δfrep):ピエゾおよびモーター駆動 波長シフト:ピエゾによるOPOキャビティ長制御 |
| 外形寸法(L × W × H) | 275 × 210 × 95 mm(オールインワン構成) |
| ビーム出射高 | 60 mm |
| 動作温度 | 15~30 °C(ベースプレート <25 °C、接触冷却) |
| 相対湿度 | 20~70%(結露なきこと) |
| 消費電力 | <75 W |
| 電源 | 24 VDC、5 A |
※1 波長は1350~4500 nmの範囲でカスタマイズ可能です。
※仕様値は温度変動±1 °C、湿度変動±10%の条件におけるものです。
※仕様は予告なく変更される場合があります。最新仕様についてはお問い合わせください。
オプション
K2-OPO-miniは、用途やシステム構成に応じて各種オプションに対応します。
- 波長可変構成(K2-OPO-Flex)
- ファイバー結合出力
- ポンプレーザー出力
- Signal/Idlerペア出力
- デュアルコム構成
- 繰返し周波数制御
- OPOキャビティ長による波長シフト制御