レーザー誘起蛍光法(CryLas社アプリケーションノート)

CryLaS

CryLaS社小型&低ノイズレーザーシステムによるレーザー誘起蛍光法の例をご紹介します。

レーザー誘起蛍光法(LIF)は,レーザー光の吸収とそれに続く光子の自然放出によって,原子や分子をより高いエネルギーレベルに励起する分光法です。LIFは、分子の構造研究、選択的な種の検出、流れの可視化計測などに用いられます。蛍光寿命イメージング顕微鏡(FLIM)は、蛍光試料からの蛍光の指数関数的減衰率の違いに基づいて画像を生成するイメージング技術です。共焦点顕微鏡、2光子励起顕微鏡、多光子トモグラフィーなどのイメージング技術として使用されています。FLIMでは、蛍光体の信号の強度ではなく、寿命を利用して画像を作成します。これにより、厚い層の試料における光子散乱の影響を最小限に抑えることができます。

固体試料のUVレーザー誘起蛍光分光:固形剤の特性評価

医薬品の固形製剤を大量に生産するためには、その品質を確保するために迅速な方法が必要です。ここでは、反射型のレーザー誘起による蛍光分光法(励起光源にUVレーザー(λ ex = 266 nm)を使用)を用いて、迅速かつ非侵襲的に錠剤の特性を評価するための装置の設計と最適化について述べます。このセットアップは、再現性,白化現象,および感度に関して検証されました。実験の計画方法に基づいて製造された一連の錠剤を用いて、試料の物理的・化学的特性(圧縮されていない材料の硬度,均質性,化学組成,顆粒の粒径など)がスペクトルに及ぼす影響を調査しました。特に均質性に関する錠剤の調査は、医薬品の製造工程において非常に重要視されています。我々は、乗算的散乱補正が蛍光スペクトルのデータ前処理のための適切なツールであることを示しました。また、主成分分析を行うことで物理的・化学的特性の異なる錠剤を蛍光スペクトルから良好に識別することが可能です。

Applicability of UV laser-induced solid-state fluorescence spectroscopy for characterization of solid dosage forms, 2014

レーザー誘起蛍光法(LIF)による技術的規模の固定床反応器での木材粒子の熱分解:タールのオンライン特性評価

熱化学変換プロセスを理解し、制御するためには、過渡的な揮発性物質の挙動をリアルタイムで評価することが重要な要素になります。本研究では,高さ1m,内径22cmの技術的規模の固定床式低速熱分解プロセスにおけるタールの特性評価にレーザー誘起蛍光(LIF)という非侵襲的な分光法を適用しました。さらに永久ガスのオンライン分析を行いました。タールと永久ガスの変化を比較すると、蛍光強度は一次熱分解と同じ挙動を示し、CO2とCOの主な放出と同時に、この初期段階ですでにいくつかの小さな多芳香族炭化水素PAHが形成されていることがわかりました。CH4とH2の放出は、より高い温度で始まります。定性的なタール組成の評価は、単一の熱分解蛍光スペクトルを芳香環の代表種でフィッティングすることによって行われました。その結果、熱分解蒸気に含まれる主なPAHは2環芳香族化合物であり、3環および4環芳香族化合物の増加は熱分解プロセスの高度な段階で観察され、CH4およびH2の放出と一致していることがわかりました。この挙動は、滞留時間が長くなるほど顕著になり、二次反応の促進が示唆されます。異なる原料から得られたスペクトルを比較すると,熱分解プロセスの初期段階で異なる挙動が観察され,松の場合にはブナ材には存在しない種が放出されていることがわかりました。この挙動は、パイン材に含まれる抽出物の存在、あるいは針葉樹と広葉樹の半セルロース組成の違いによるものと考えらます。

On-line tar characterization from pyrolysis of wood particles in a technical-scale fixed-bed reactor by applying Laser-Induced Fluorescence (LIF), 2013

レーザー誘起蛍光法を使用した流体力学的分離機におけるキャピラリー等速電気泳動:キャピラリゾーン電気泳動のオンライン結合

本研究では、ITPとCZEを流体力学的分離機で結合させたカラムに、モジュール式の検出器を組み合わせた分析法を開発しました。この分析の可能性は、希釈された実際の多成分イオンマトリックス(飲料、尿)中のキニーネ(QUI)の直接的かつ超高感度な定量分析で実証されました。検出セルのインターフェースは、内部の光チャネルが長方形に配置されており、分離キャピラリーとレーザー誘起蛍光検出器が光ファイバを介して接続され、オンカラム検出配置となっています。ITPでは,オンラインでサンプルの前処理(前処理,前濃縮)を行い、希釈した実在のマトリックスを大容量(30μL)で直接注入することができるため、多成分イオンマトリックス中の分析対象物を分離するための外部サンプルの前処理(希釈を除く)は必要ありません。ITPサンプルの前濃縮とレーザー誘起蛍光検出の固有の感度により、非常に低い濃度のLOD(低濃度:77 pg/mL)が同時に達成されました。これは、同じ2次元分離でUV吸光検出器を用いた場合に達成されたLODよりも約2桁低い値でした。このモデル分析物とマトリックスに適用されたシングルカラムのCE-LIF法と比較して、この方法は濃度LODの点で優れており、選択性とオンラインサンプル調製の利点を備えていることがわかりました。食品管理とバイオ分析のアプリケーションは、提案されたモジュール式ITP-CZE-LIF技術の実用的な可能性と日常的な使用を明確に示しています。

On-line coupled capillary isotachophoresis‐capillary zone electrophoresis […] with laser induced fluorescence detection, 2013

エリスロポエチンの抽出:免疫磁気ビーズ法 / キャピラリゾーン電気泳動 / 深紫外レーザー誘起蛍光法

エリスロポエチン(EPO)は重要な糖タンパク質ホルモンです。遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(rhEPO)は重要な治療薬であり、スポーツ界ではドーピング試薬としても使用されています。医薬品やスポーツ分野におけるEPOのグリコフォームの分析は、分析科学者にとっていくつかの面で大きな課題となっています。中でも高感度検出と、効果的で容易なサンプル調製は2つの重要な課題です。ここでは、この2つの観点から新たな可能性を検討します。EPOの固有の蛍光を検出するために、深紫外レーザー誘起蛍光検出法(deep UV-LIF)を確立し、EPOのグリコフォームを特異的に抽出するために、免疫磁気ビーズ法をベースにした抽出法(IMBE)を開発しました。キャピラリゾーン電気泳動(CZE)と組み合わせることで、CZE-deep UV-LIFは感度を向上させた高解像度のグリコフォームプロファイリングを可能にしました。検出感度は、UV吸光検出と比較して1桁向上しました。さらに、蛍光標識を必要としないため、元のグリコフォームの分布を完全に保持できるという利点もあります。IMBEをCZE-deep UV-LIFと組み合わせることにより、全体の検出感度は1.5×10-8 mol/Lとなり、従来のUV吸光検出によるCZEに比べて2桁向上しました。EPOの医薬品製剤の分析には適用できますが、血液や尿中のEPOのアンチドーピング分析には感度が不足しています。IMBE は試料調製のための簡単で効果的な方法です。しかし、尿中のタンパク質は免疫抽出を大きく阻害するため、特異性の高い抗体が必要となります。

Immuno-magnetic beads-based extraction-capillary zone electrophoresis-deep UV laser-induced fluorescence analysis of erythropoietin, 2012

レーザー誘起蛍光法による気相の多環芳香族炭化水素混合物の分析

レーザー誘起蛍光法(LIF)は,多環芳香族炭化水素(PAH)の定性・定量分析に有効な技術です。LIFに基づいて気相のPAHをほぼ連続的に分析するための分析ツールを設計・構築しました。著者の意図は、ガス化プロセスからのタールのようなPAHを含む複雑な混合物をさらに分析することです。この論文では、個々のPAH成分とその混合物の計測を扱っています。オンラインガスクロマトグラフィー/質量分析計(GC/MS)を用いて、選択したPAH種の計測結果の比較と校正を行いました。重回帰分析は、既知の濃度の選択された成分と様々な組み合わせの混合物のLIFスペクトルに適用されます。このアプローチにより、高温の気相中のPAH種の濃度を20%以内の精度で計測できる可能性があることが実証されました。これは、PAH混合物中の特定の濃度に対する個々の化学種のLIFスペクトルが事前に分かっている場合に当てはまります。さらに、混合物中に存在する物質を考慮せずに計算した場合、結果がどのように変化するかについても説明します。

Analysis of gas-phase polycyclic aromatic hydrocarbon mixtures by laser-induced fluorescence, 2010
 

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