ナノインデンター:ナノインパクト試験(ナノスケール衝撃試験)

Micro Materials

ナノインパクトは、高ひずみ速度によりナノ・マイクロスケールの衝撃試験を実現します。コーティングの耐久試験やナノスケールでの材料の動的挙動を明らかにします。

ナノインパクトは、高ひずみ速度によりナノ・マイクロスケールの衝撃試験を実現します。コーティングの耐久試験やナノスケールでの材料の動的挙動を明らかにします。

  • 高ひずみ速度、薄膜の高速変形試験
  • ナノスケールの衝撃試験
  • コーティングの耐久試験
  • 材料の動的特性を評価
  • 低サイクル/高サイクル疲労試験

 

ナノインパクト試験は、市場で唯一、ナノスケールの制御を行いながら、圧子がサンプルの表面から離れた後、サンプルに衝突するナノスケールの衝撃試験です。この試験方式は、高ひずみ速度での変形、衝撃を伴う力学物性の解析に適しています。NanoTestシリーズのナノインパクト試験の代表的なひずみ速度は、100〜1000s-1であり、ナノインデンテーション試験のひずみ速度0.0001〜0.01s-1を大きく上回ります。
図1:ナノインパクト損傷痕

 

利点

  • シングルインパクト試験:1回のみ衝撃試験。加工硬化、動的硬さおよび降伏応力など、動的な材料挙動の解析
  • 繰返しインパクト試験:繰返し高速変形による疲労試験
  • 欠陥発生サイクルの研究
  • S-N曲線の高速自動測定
  • 材料の靭性評価(ナノインデンテーションによる硬さ測定を補完した材料解析)

ナノインパクト試験は、もともと薄膜やコーティングの靭性、および疲労破壊耐性を評価するために考案された手法です。また、切削加工の工具表面と加工材料のように、高速に移動しながら材料同士が接触している状況を模倣することができます。この断続的な接触状況は、実質、材料同士の衝突現象による作用が働いています。これまでの従来研究において、ナノインパクト試験の結果と、断続的接触状況が起こす極限環境で使用される硬質コーティングの耐久性との間に高い相関性が報告されています。したがって、航空宇宙分野向けに開発される難加工材料用の高能率切削加工用工具コーティングの耐久性評価や、高速回転する航空宇宙エンジンの耐摩耗評価などを行うことができます。

測定装置

NanoTestシリーズのナノインパクト試験は、シンプルかつ柔軟に使用することができます。ナノインパクト機能を搭載した装置を購入することも、既存のNanoTestシリーズの装置にインパクトモジュールを追加してアップグレードすることも可能です。

また、測定には下記のパラメータを設定することが可能です。

  • 圧子の形状
  • 加速距離(衝突のエネルギー量)
  • 荷重
  • インパクトの入射角度
  • サイクル数
  • 繰返し周波数

ナノインパクト試験によるクラック・損傷の進行は、試験中、衝撃を与えるダイヤモンド圧子の押込み深さを測定することにより知ることができます。高ひずみ速度による衝突を起こすために、その幾何学的形状から、キューブコーナーのダイヤモンド圧子がしばしば使用されます。この高ひずみ速度は、短時間で破壊までの挙動を調べることに適しています。
周期的な電磁気力により圧子のついたヘッドを繰り返し移動させインパクト試験を行います。ヘッドは約10〜15ミクロン表面から離したのち、加速して試験材料の表面に衝突します。

応用例

Bouzakisらが発表した論文では、PVD法による多層TiAlNコーティングの性能を比較している。このような比較評価は、切削工具のコーティング寿命を延ばすための効果的な解析方法です。

図2:いくつかの多層膜コーティングにおける切削性能と耐衝撃性の相関関係

 

ナノインパクト試験は、コーティングの性能を最適化する強力な助けとなります。切削硬化鋼の工具寿命(切削回数)をナノインパクト試験による最大押込み深さと比較している。図2から工具寿命が長いコーティングほど、最大押込み深さが小さい、つまり耐衝撃性に優れているという相関性を知ることができる。
Bouzakisらは、この性能の違いは、以下に示すように、クラックの伝播を抑制するレイヤーに起因すると仮定している。

図3:多層膜コーティングにおけるクラックの伝番モデル

 

以前の論文では、Bouzakisはナノインパクト試験を使用して、コーティングされた超硬合金インサートのZrO2による精密ショットピーニング処理(Micro-blasting, WPC処理)での圧力変動の影響を調べている。

参考文献:
Brittleness and fatigue effect of mono- and multilayer PVD films on the cutting performance of coated cemented carbide inserts. G.Skordaris, K.-D. Bouzakis et al. CIRP Annals – Manufacturing Technology 63 (2014) 93-96.

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ドライWPC処理は、コーティングの硬度、耐摩耗性を増加させ、切削工具の性能を向上させると言われています。しかしながら、同時にコーティングの脆性もまた増加させてしまいます。
彼らの測定データを再び示します(図4、5)。焼き入れした鋼材を実際に切削した際の工具寿命(切削回数)とPVDコーティングへのナノインパクト試験による最大押込み深さとの相関性が示されている。工具寿命が長いほど、押込み深さ量が小さいことがわかる。

図4 図5

 

これらの結果から、0.2〜0.4MPaの間で、耐衝撃性が低下し、脆性が増加することが示されており、条件の最適化において圧力が重要なパラメータであることわかる。

参考文献:
Influence of dry micro-blasting grain quality on wear behaviour of TiAlN coated tools K.-D. Bouzakis, F.Flocke et al. Wear 271 (2011) 783-791.

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ナノインパクト試験は繰り返し試験だけでなく、一度のみ衝撃を与えるシングルインパクト試験により、高ひずみ速度押込み試験を実施することが可能です。インパクト試験の時間依存データの解析は、材料の「動的硬さ」、すなわち、設定したひずみ速度における有効硬さを評価することができます。

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