ナノインデンター:高温試験

Micro Materials

NanoTestシリーズは、独自の水平荷重方式、および、圧子とサンプルの等温接触により、熱ドリフトが極めて小さく、高温環境においても、信頼性の高い機械特性評価試験を可能にします。

NanoTestシリーズは、独自の水平荷重方式、および、圧子とサンプルの等温接触により、熱ドリフトが極めて小さく、高温環境においても、信頼性の高い機械特性評価試験を可能にします。

  • NanoTest Vantage 最高850°C、NanoTest Xtreme 最高950°C
  • 信頼性の高い高温環境測定
  • 水平荷重方式と等温接触により、極めて小さい熱ドリフト
  • インデンテーション、スクラッチ、インパクト試験
  • 高温でのクリープ試験

高温環境下での機械的性質の評価

材料の特性は、温度の変化によって大きく変化します。したがって、高温用途で使用される材料やコーティングを開発および特性の評価をする場合、可能な限り厳密に実際の使用環境を再現することが必要になります。そして、これは、高温ナノメカニカル試験装置を導入する大きな利点です。
NanoTest Vantageの高温オプションにより、(1)ナノインデンテーション(2)ナノスクラッチ&ウェア(3)ナノインパクト(耐久試験)を最高850°Cの温度で行うことができます。
NanoTest Xtremeは、高真空環境下で最高950°Cの高温ナノメカニカル試験が可能です。

NanoTest高温オプションの利点

  • 500°Cまたは850°Cなど、実験条件に最も適したいくつかの高温モジュールを選択できます。
  • 高温での硬度とヤング率測定のための押込み深さ測定式システム
  • 高温でのナノスクラッチと高ひずみ速度のナノインパクト試験(ナノスケールの衝撃試験)
  • 材料の動作温度でのトライボロジー挙動を評価
  • 水平荷重方式と局所加熱方式により、計器への熱伝達を最小限に抑え、より安定した測定が可能
  • 圧子と試料用、それぞれ独立した加熱・温度制御機構を持つことにより、等温接触を可能にし、熱ドリフトを最小限に抑え、繰り返し再現性の高い実験を可能にします。
  • 優れた熱安定性により、長時間のナノスケールのクリープ試験が可能になります。測定装置により影響を受けない正確なクリープ挙動を評価することができます

高温ステージ

NanoTest Vantageの水平荷重方式は、高温での正確で信頼性の高い試験には不可欠です。構成を図1に示します。

重要な特徴

  • 水平荷重方式
    圧子の左側に配置されているローディングヘッド、および押込み深さ測定センサーに、熱が流れません。
  • 等温接触
    NanoTest Vantage高温ステージコントローラは、プローブとサンプルの両方に別々の加熱・温度制御機構をもち、等しい温度で押込み試験を行います。したがって、試験中に熱流が発生せず、熱ドリフトを最小限に抑えることができます(英国特許)。
  • 局所加熱
    圧子とサンプルのみ加熱されるため、熱によって計器が不安定になることはありません。
  • 時間依存測定
    高温測定中に大きな熱ドリフトが発生しないので、押込みクリープ試験などのより長時間の試験を行うことが可能になります。
  • ガスパージチャンバ
    NanoTest Vantageは、圧子とサンプルの酸化を大幅に抑えるためのパージチャンバーを取り付けることができます。
図1:NanoTest Vantageの水平荷重方式
(設計画像提供:J.M Wheeler、スイス連邦工科大学)

 

実際の使用環境下での機械物性評価:850°Cまでの硬さ、ヤング率およびクリープ試験

室温で測定した結果は、必ずしも高温環境での材料性能を知る良好な指標とはならない。温度が影響するアプリケーションでは、動作温度での機械的特性を知ることが材料の挙動を予測する上で不可欠です。

図2は、2種類のPVDコーティングの硬度/ヤング率比(H/E比)を温度の関数として示しています。H/E比は摩耗の挙動に強い相関をもちます。TiAlNコーティングは、TiCNコーティングよりもはるかに温度に対して安定であることがわかります。
この結果は、室温ではTiAlNは低い値であるにもかかわらず、摩擦加熱の影響が大きい高速旋削において、TiAlNがTiCNより優れている理由を示しています。

図2:2種類のPVDコーティングの温度の関数としての
硬度とヤング率の比
クリープ挙動も温度の関数として変化する。ほとんどの材料は、約0.3Tmのクリープ挙動の変化を示す。この変化は、部品の性能と寿命に著しい影響を及ぼします。

図3は、Ti6Al4Vのクリープひずみが25°Cよりも650°Cで顕著に高く、高速切削加工、耐摩耗性およびコーティングされら切削工具の寿命がその高温機械特性と強く相関することを示しています。

図3:Ti6Al4V上の室25°Cおよび650°Cでのクリープひずみ

 

高温環境下でのウェア試験(摩耗評価)

ナノスクラッチ&ウェア試験だけでなく、ナノインパクト試験(ナノスケールの衝撃試験)も高温環境下で実施可能です。この試験は、高ひずみ速度による材料の挙動やコーティングの耐久性に関する有用な情報を得ることができます。

図4は、高負荷時にPVD AlTiNコーティングの滑り摩耗の影響を調べている。高温ステージとナノスクラッチ&ウェアモジュールと組み合わせて、温度が上昇するにつれてサンプルの挙動、表面の摩耗量がどのように変化するかを示しています。25℃では、コーティングが3回目のスキャンで完全に破壊します。一方、500°Cではより高い延性を示し、最終的な摩耗深さは小さくなります。

図4:高負荷時のPVD AlTiNコーティングの滑り摩耗

高温での高速切削用工具の耐摩耗性の最適化

ナノスクラッチ&ウェア試験だけでなく、ナノインパクト試験(ナノスケールの衝撃試験)も高温環境下で実施可能です。この試験は、高ひずみ速度による材料の挙動やコーティングの耐久性に関する有用な情報を得ることができます。

図5:室温と高温でのTiAlNコーティングの高ひずみ速度ナノインパクト試験の結果を示しています。室温での結果に比べ500°Cでは圧子の押込み深さが小さく、500°Cにおいてより適した材質であることがわかる。しかしながら、500°Cであっても、150sec付近において、小さくであるがTiAlNコーティングの破壊が起きている。この結果は、大きな熱を発生する切断用途において、一般的に良いとされるAlTiNと比較すると、TiAlNの方が破壊の増加と不安定な摩耗挙動が生じやすいことが推測されます。

詳細については、BD Beake et al, Int Heat Treat Surf Eng 5 (2011)17 、および、BD Beake et al Surf Coat Technol 201 (2007) 4585]を参照のこと。

 

図5:TiAlNコーティング上の繰返し高温ナノインパクト試験の結果
(青:室温)
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